監修いただいた医師:
友利 新(ともり あらた)/Arata Tomori
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医師(内科・皮膚科)
沖縄県宮古島出身。東京女子医科大学卒業。同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。
現在、内科と皮膚科のクリニックに勤務の傍ら、医師という立場から美容と健康を医療として追求し、美しく生きる為の啓蒙活動を雑誌・TV などで展開中。
春の訪れとともに変化しやすくなる体内のホルモンバランス。特に女性は、女性ホルモンの分泌量が季節やライフステージによって変動するため、体調や美容面でのお悩みが表れやすくなると言われています。
そこで注目したいのが「亜鉛」。体内の各種酵素の働きをサポートするミネラルとして知られる亜鉛は、ホルモンバランスの維持にも役立つとされています。今回は、知っているようで意外と知られていない亜鉛についてお届けします。
亜鉛は、体内で作ることができない「微量必須ミネラル」のひとつです。
サプリメントでも人気の成分で、様々な製品に配合されています。
ミネラルは、互いに吸収や働きに影響をあたえ合うことがあるため、バランスよく摂ることが求められます。
亜鉛とは?
カルシウムや鉄分と同様に「必須ミネラル」と呼ばれる、人間の生命活動に欠かせないミネラルのひとつである亜鉛。新陳代謝やエネルギー産生、免疫反応などに欠かすことのできない大事な成分ですが、私たちの身体には、亜鉛を合成したり蓄える機能がないため、食事やサプリメントから摂取しなければなりません。
亜鉛のはたらき
亜鉛は、ホルモンの合成や分泌の調整、免疫反応の調節、酵素の構成や酵素反応の活性化、タンパク質合成などに作用し、体の成長と維持に必要な栄養素です。また、味覚に関わる細胞をつくる働きもあり、食べ物を美味しいと感じるのに欠かせません。
摂取推奨量と摂取状況
1日の摂取推奨量は、男性:11mg、女性:8mgとされ、特に妊娠中、乳児期および小児期の体は、十分に成長・発達するために亜鉛を必要とします。妊婦の方は10mg、授乳婦の方は12mgが摂取推奨量です*。
*(30歳〜49歳日本人の食事摂取基準2020年版より)
摂取状況は、令和元年に報告された国民健康・栄養調査 総数平均値によると男:9.2mg、女性7.7mg。亜鉛の摂取量の平均をみると、特に男性は亜鉛不足に陥りやすい状況です。
さらに妊婦さんや授乳されている方、スポーツをされている方は通常以上に亜鉛が必要になります。無理なダイエットなどで栄養不足の状態が続いたり、食事の栄養バランスが偏っていたりすると、亜鉛不足になる可能性も考えられるため、こちらも要注意ですね。
(令和元年国民健康・栄養調査 総数平均値より)
なぜ特に女性は積極的に亜鉛を摂ると良いの?
女性は月経や妊娠、更年期といったライフステージの変化を経る中で、体内のホルモンバランスが大きく変動します。こうした変化に対応するために、亜鉛が果たすサポートの役割は非常に重要です。以下の点に注目してみましょう。
- ホルモンバランスの維持
亜鉛は、体内の酵素反応を助けることで、ホルモンの生成や分解に関与しています。バランスが乱れがちな女性ホルモンをしっかりサポートするため、積極的な摂取が推奨されています。 - 美容面でのサポート
亜鉛は、健康な髪や肌の維持にも寄与するミネラルとして知られており、薄毛や抜け毛といった悩みのケアにも注目されています。季節の変わり目は髪や肌が乾燥しやすくなるため、亜鉛を含むバランスの良い栄養補給が大切です。
女性だけでなく男性にも必要な理由
近年、更年期に関する情報が広がる中で、女性だけでなく男性にもホルモンバランスの乱れが問題視されています。女性特有と思われがちな更年期の症状は男性にもあり、医学的には「男性更年期(LOH症候群)」と呼ばれます。
一般的に40代から徐々に増えてくるとされ、加齢に伴いテストステロンをはじめとするホルモンの分泌量が変動し、体調や気分に影響が出ることがあります。亜鉛は、男女問わず体内のホルモン調整に関与するため、更年期のサポートとして役立つ可能性があります。
亜鉛を多く含む食品
亜鉛といえば牡蠣、というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
その通り、牡蠣には亜鉛が豊富に含まれています。しかし、牡蠣を1年中頻繁に食べることは難しいですよね。
手軽に摂れる食品としては、牛赤身肉や油揚げ、卵、カシューナッツなどがあります。
亜鉛は多くの食材に含まれますが、動物性食品に比較的多いため、野菜中心の食事では不足することがあります。
野菜もお肉も、バランス良く食べることを心がけましょう。
まとめ
季節の変わり目は、ホルモンや体内ミネラルのバランスが崩れやすい時期です。女性ホルモンの変動による美容や体調の悩み、また男性更年期におけるホルモンバランスの乱れに対して、亜鉛は大切なサポート成分として注目されています。
知らず知らずのうちに亜鉛不足になっているケースもあり、特に加齢とともに食事量が減少することが懸念されます。そのようなときは、無理に食事量を増やすのではなく、サプリメントの活用もひとつの有効な手段です。不調を感じる前に日頃の食生活を見直し、亜鉛不足を未然に防ぐことが大切です。
参考:
厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』
健康食品の安全性・有効性情報
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」
男性更年期の対策と、テストステロンを減らさない生活習慣を知ろう|くすりと健康の情報局