2025年2月10日 | 友利新先生に聞く「肌と健康の話」
日本の国民病とまで言われる花粉症についてお話します。
花粉症の起こるメカニズムとして、体内に蓄積される花粉の量が容量を超えると発症するという”コップのお水理論”がよく言われていますが、最近は”免疫のシーソー理論”のほうがメカニズムをよりよく説明している、と言われています。免疫のアンバランス化で花粉症が引き起こされているのではないかということです。細菌やウイルスに対抗する免疫力よりも、花粉などのアレルギーに対抗する免疫力の負担が大きくなることで2つの免疫のバランスが崩れ、アレルギー症状が引き起こされてしまっていると言われています。
免疫に関わる細胞の約60%は腸内に存在するとされており、腸内環境が悪くなると免疫のはたらきに異常が起こり、花粉症をはじめさまざまな病気を招きやすくなるといわれています。また善玉菌の1種である酪酸菌が花粉症の発症に関係することまでわかっています。花粉症をはじめとするアレルギー対策として腸内環境をととのえることはとても大事になってきます。
腸内環境を整えるには納豆やヨーグルト、味噌、漬物といった発酵食品、食物繊維が豊富なキノコや海藻類、野菜などを積極的に取るとよいとされています。
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2025年1月21日 | ブログ
20年間で2倍以上! 花粉症急増の理由
今や“国民病”ともいわれるようになった花粉症。環境省の花粉症マニュアル*¹によると、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象にした全国調査では、1998年には19.6%だった花粉症の有病率は2008年には29.8%、さらに2019年には42.5%と、およそ20年間で2倍以上に。東京都では30年間でなんと約5倍とも。

また、ロート製薬が実施した「子どもの花粉症」に関するアンケート調査*²によると、子ども(0歳~16歳)を持つ親の約4割が、自分の子どもは「花粉症と診断された」または「花粉症だと思う」と回答。小学生では約半数(47.4%)が花粉症を実感しており、発症年齢は平均5.8歳。およそ4人にひとりが「目のかゆみで勉強に集中できない」など答えている一方で、約3割の親は「子どもの花粉症対策をしていない」ことも明らかになりました。
花粉症患者が増加している要因として、飛散する花粉数の増加、食生活の変化、腸内細菌の変化や感染症の減少などが指摘されている他、大気汚染や喫煙、ストレスの影響、都市部における空気の乾燥、さらに春先の黄砂やPM2.5なども花粉症患者の増加や症状の悪化に影響していると注意を呼びかけられています。
花粉症になる原因とメカニズム
そもそも花粉症とは、くしゃみや鼻水、目のかゆみや涙目など、いずれも入ってきた花粉を取り除こうとすることで生じるアレルギー反応です。
人の鼻では花粉が目や鼻から入ってきて、体内の免疫システムによって「異物=敵」とみなされると、敵に対抗するための抗体がつくられます。この抗体は「IgE抗体」と呼ばれるもので、花粉によって異なった抗体が作られます。IgE抗体は、花粉に接触するたびにつくられるため、少しずつ体内に蓄積されていきます。
蓄積量があるレベルに達すると、次に花粉が入ってきたときに、アレルギー反応を起こすヒスタミンなどの化学物質が分泌され、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった花粉症の症状を起こすのです。
「去年までは全然大丈夫だったのに急に花粉症になった――。」なんて聞いたことがあるかもしれません。それは、これまで蓄積されていたIgE抗体が一定量に達してしまったからなのです。
花粉症になりやすい人の特徴はある?
花粉症を発症する人の多くは、遺伝的にアレルギー体質を持つことが主な原因とされています。しかし、それだけが原因ではありません。他にも、さまざまな要因が影響している可能性があります。
- 食生活の変化
昔に比べ、インスタント食品やスナック菓子などの加工食品が普及した現代では、花粉症の有病率が高まっています。アレルギーの原因ともなる食品添加物や加工食品、甘いものを多く食べ過ぎると、炎症物質であるヒスタミンやロイコトリエンの放出が増え、症状が悪化しやすくなるとも。このことから、食生活を見直し、栄養バランスの取れた食事を心がけることが重要と言えます。
- 生活習慣の乱れ
睡眠不足や不規則な生活、さらにはストレスも花粉症を引き起こす要因として挙げられています。これらは自律神経を乱し、免疫バランスが崩れることでアレルギー反応を起こしやすくするためです。規則正しい生活や十分な睡眠を確保することが、花粉症の症状緩和に役立つかもしれません。
- 環境と花粉の関係
住んでいる地域の環境も大きな影響を与えます。例えば、花粉の飛散量が多い地域では、当然花粉症の有病率も高くなりますが、それに加えて排気ガスも重要な要因です。排気ガスに含まれる微粒子が花粉と混ざることで、アレルギー反応が強く出やすくなります。また、花粉が何度も舞い上がり、吸い込みやすい環境を作るアスファルトの影響もあります。一方で、土の地面が多い地域では、花粉が土に吸収されるため、空気中の花粉量が少なくなることが分かっています*³。

ビタミンDが花粉症に効く? 期待される効果
花粉症は、免疫機能が過剰に反応することが原因で起こります。そのため、免疫機能のバランスを整えることが花粉症ケアのポイントになります。ここで注目されているのがビタミンDです。
- ビタミンDの役割
ビタミンDは、免疫細胞の働きをサポートし、免疫機能が過剰にならないよう整える役割があります。ビタミンDが不足すると免疫機能が低下しやすくなることが示されており、風邪やインフルエンザの予防に役立つ可能性があるとも言われています。
- ビタミンDの主な働き
- 炎症を抑えるサポート
ビタミンDは体内の炎症反応を穏やかにする働きがあり、これがアレルギー反応の軽減につながる可能性があります。
- 粘膜の健康維持をサポート
花粉症の症状は鼻や目、のどの粘膜に花粉が付着することで始まります。ビタミンDは粘膜の新陳代謝を助け、健やかな状態を保つ手助けをする可能性があります。
症状が悪化する前に。早めに取り組みたいインナーケアとは?
花粉症の季節になると、「これを食べるといい」「あれは控えるべき」といった情報がたくさんありますが、何を信じてよいのか迷ってしまうこともありますよね。食事は花粉症対策の基本のひとつですが、特定の食品に偏ったり、特定の食品を完全に避けたりすると、栄養バランスが崩れがちです。
栄養が不足したり、過剰になったりすると、花粉症の症状が悪化するだけでなく、体全体の調子にも影響を及ぼす可能性があります。まずは特別な制限をするのではなく、バランスのとれた食事を心がけることが大切です。
- バランスの取れた食事を基本に
花粉症対策を考えるうえで、まずは日々の食事を見直してみましょう。次のようなポイントを意識すると良いでしょう:
- 主食(ご飯やパンなど)、主菜(肉・魚・豆腐などのたんぱく質)、副菜(野菜や海藻類)をバランスよく組み合わせる
- 加工食品やお菓子に偏らず、自然な食材を中心に摂る
- 腸内環境を整える工夫
花粉症と免疫は深く関係していますが、実は免疫細胞の約6~7割は腸に存在していると言われています。腸内環境が整うと免疫バランスをサポートしやすくなります。そのため、以下の食品を意識的に取り入れると良いでしょう:
- 発酵食品
ヨーグルト、納豆、味噌、キムチなどは腸内の善玉菌を増やす働きが期待されます。
- 食物繊維
野菜、果物、海藻、全粒穀物などに含まれる食物繊維は、腸内の善玉菌のエサになります。
- 花粉症ケアに取り入れたい習慣
粘膜の健康を維持するには、食事から栄養素をしっかり摂ることも重要です。特に以下の栄養素に注目しましょう:
- ビタミンD
魚類(サケ、サバなど)、卵黄、キノコ類に含まれます。日光を浴びることで体内でも生成されます。
- タンパク質
粘膜の材料となるタンパク質は肉類や大豆製品、乳製品などから摂取できます。
- ビタミンA
粘膜を健やかに保つ働きが期待される栄養素で、ニンジンやカボチャなどの緑黄色野菜に含まれます。
最後に
ビタミンDをはじめとする栄養素は、免疫機能をサポートし、粘膜の健康を保つ上で重要な役割を果たします。ただし、ビタミンDはあくまで日常生活を支える栄養素の一つであり、個々の症状や体調に応じたケアが必要です。花粉症が気になる方は、十分な睡眠や規則正しい生活、バランスの取れた食事とともに心がけると良いでしょう。
花粉症のシーズンは早くも到来。良く知り、早めの対策が肝心です!
※本記事は健康的なライフスタイルの参考情報として提供されています。具体的な症状については医師や専門家にご相談ください。
*¹ 2022_full.pdf
*² 子どもの花粉症実感、10年前32.7%→現在42.6%に増加。小学生では約半数が花粉症実感、うち32.1%「とても辛い」 | ニュース | ロート製薬株式会社
*³ 都会で花粉症が増え続ける理由とは? | くらしにプラス | エステー株式会社
(参考)
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2022年3月15日 | ブログ
監修いただいた医師:

友利 新(ともり あらた)/Arata Tomori
instagram @aratatomori
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医師(内科・皮膚科)
沖縄県宮古島出身。東京女子医科大学卒業。同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。現在、内科と皮膚科のクリニックに勤務の傍ら、医師という立場から美容と健康を医療として追求し、美しく生きる為の啓蒙活動を雑誌・TV などで展開中。2004年第36回準ミス日本という経歴をもつ、美貌の新進医師。美と健康に関する著書も多数。
3月は花粉の飛散量も多く、花粉症でお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
厚生労働省の調査*¹では、全国平均で15.6%の人が花粉症であることがわかったそうです。
地域別では、東北13.7%、北関東21.0%、南関東23.6%、東海28.7%、北陸17.4%、甲信越19.1%、近畿17.4%、四国16.9%、中国16.4%、九州12.8%で北海道、沖縄はごく少ない有病率でした。
今や国民病ともいわれる花粉症。今回は花粉症対策に摂りたい食品、控えたい食品についてご紹介します。
●摂りたい食品
・サバ、さんま、亜麻仁油など
αリノレン酸やDHA、EPAは、抗炎症・抗アレルギー作用があります。
・レバー、にんじん、ほうれん草など
ビタミンAは、皮膚や粘膜を健康に保つ働きがあります。
・きくらげ、鮭、かつおなど
ビタミンDは、免疫機能を調整する働きがあります。

●なるべく控えたいもの
・インスタント食品
免疫細胞の70%は腸に集中しています。一般的に、インスタント食品を多く摂ると、腸内環境のバランスが崩れやすいと言われています。「腸活」で免疫力を高めましょう。
・お酒
アルコールが分解されると、二日酔いの原因でもあるアセトアルデヒドという物質ができます。この物質が、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンを増やします。
花粉症の症状が悪化する可能性があるため花粉症シーズンは、お酒を控えましょう。

・動物性たんぱく質の摂りすぎ
花粉症対策で、摂りたい栄養素も豊富に含む動物性たんぱく質ですが、摂りすぎると腸内で悪玉菌が増える原因になります。
ほかに日常生活で気を付けたいことは、
・花粉のつきやすい素材のコートは避ける
・帰宅後はすぐに顔を洗い、うがいをする
・鼻粘膜を良好に保つために、ストレスケアをおこない十分な睡眠をとる
なども必要です。
今後は、世界的な温暖化の影響でスギ花粉飛散数も増加が予想されています。
できる範囲でセルフケアに努めて、花粉症に負けない体を手に入れましょう!
参考:
*¹厚生労働省~花粉症の疫学と治療そしてセルフケア~
厚生労働省 的確な花粉症の治療のために(第2版)
※花粉症に対する食品の効果については、薬とは異なりますので即効性の有無の判断は難しく、個人差もあります。ただ、免疫機能や皮膚粘膜の健康維持に関与する栄養素など、バランスの良い食事を基本とし、その上でそれらを取り入れることで、花粉症対策に繋がると考え、ご紹介しています。
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