監修いただいた医師:
友利 新(ともり あらた)/Arata Tomori
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医師(内科・皮膚科)
沖縄県宮古島出身。東京女子医科大学卒業。同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。
現在、内科と皮膚科のクリニックに勤務の傍ら、医師という立場から美容と健康を医療として追求し、美しく生きる為の啓蒙活動を雑誌・TV などで展開中。
かゆみを繰り返すアトピー性皮膚炎。夏は特に汗や紫外線の影響で悪化する方が多いと言われています。
日本皮膚科学会によると、アトピー性皮膚炎は、皮膚の乾燥とバリア機能の異常がある状態に対し、様々な刺激やアレルギー反応が加わって生じると考えられています*¹。
アトピー性皮膚炎の症状を改善する方法は、皮膚を清潔にすること、保湿、薬物療法などがありますが、今回は食事面からできることをご紹介していきたいと思います。
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1.健康な肌へ導く栄養バランス
2.1日に摂りたい野菜の量
3.注目の栄養素はビタミンD
4.おわりに
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1.健康な肌へ導く栄養バランス
健康な皮膚のために、食事ではタンパク質やビタミンA、ビタミンB群、亜鉛など幅広い栄養素を摂取することが大切です。
例えば、朝食はコーヒーのみ、昼は菓子パン、夜はパスタ…このような食生活を続けていると、肌を作る栄養が不足してしまいます。
食事の基本は、
・主食(ご飯・パン・麺など)
・主菜(肉や魚などのたんぱく質を使ったメインのおかず)
・副菜(野菜を使ったおかず)
を揃えた定食スタイルを目指すとバランスよく栄養を摂ることができます。
家での食事だけでなく、コンビニで食事を選ぶときなども主食・主菜・副菜が揃うように意識するのがおすすめです。
毎食揃えることが難しくても、「今日の昼食は野菜が少なかったから、夜は多めに食べよう」など前後でバランスをとって1日の総量で調整してもOKです。
2.1日に摂りたい野菜の量
成人の場合、野菜は1日に350g以上摂ることが推奨されています。
生野菜だと大人が両手のひらを広げた上に乗るくらいの量が目安です。お惣菜で例えると、小鉢5つ分の量と言われています。
あまり野菜が摂れていないと感じる方は、味噌汁やスープに野菜をたっぷり入れるなど少しずつ野菜を摂る工夫をしてみてくださいね。
3.注目の栄養素はビタミンD!
ビタミンDは、カルシウムの吸収促進、骨の成長促進、血中カルシウム濃度を調節する重要な役割のある栄養素です。近年はその免疫機能への働きも注目されています。
そして、ビタミンDとアトピー性皮膚炎の関係で興味深いデータがあります。
韓国の国民健康栄養調査をもとにした研究*²では、アトピー性皮膚炎と診断されている人は、診断されていない人と比べ、ビタミンDの血中濃度(25(OH)D値)が低かったというデータが発表されています。
また、ポーランド・ワルシャワ医科大学の研究*³ではビタミンDの補給はアトピー性皮膚炎の臨床症状を改善するのに役立つ可能性があることが示唆されました。
日本における1日のビタミンD摂取目安量は、男女ともに8.5㎍*⁴ですが、平均摂取量は男性7.4㎍、女性6.4㎍*⁵と不足気味です。
ビタミンDは、野菜には含まれておらず、魚類に多く含まれる栄養素です。
加工された食品でも摂取することができますので、しらす干しやかつおの酒盗などで手軽にとりいれることができます。また、魚類をあまり食べないという方は、足りない分をサプリメントで補う方法もあります。
4.おわりに
アトピー性皮膚炎について「〇〇を食べれば治る」「〇〇は危険」等、インターネットではたくさんの情報があります。
厚生労働省の補助事業として一般社団法人日本アレルギー学会が運営する「アレルギーポータル」というサイトではこのように述べられています。
“現在、インターネットなどにはアレルギー疾患に関する膨大な情報があふれており、この中から適切な情報を選択することが困難となっていますが、厚生労働省の補助事業として一般社団法人日本アレルギー学会が運営する本サイトを通じて、国民の皆様にアレルギー疾患に関する適切な情報が届くことを願います。”
主治医に相談し適切な治療、生活指導を受けると同時に、十分な睡眠やバランスの良い食生活を意識し美肌ケアをしていきましょう。
<参考>
*¹日本皮膚科学会
*²Hui Mei Cheng,Sunmi Kim,Gyeong-Hun Park,Sung Eun Chang et al.: The Journal of Allergy and Clinical Immunology.2014 Apr;133(4)1048-55
*³Samochocki Z et al. J Am Acad Dermatol. 2013 Aug;69(2):238-44. Epub 2013 May 2.
*⁴18歳以上の男女、妊婦・授産婦(日本人の食事摂取基準2020版)
*⁵令和元年国民健康・栄養調査 1歳以上